1兆超の組み合わせは見えざる手で
ユーザー×枠×クリエイティブ×LP×タイミング×料金
これは広告とメディアの組み合わせが発生する地点ですが、それぞれ平均100以上の組み合わせがあるとすると、100の6乗なので1兆以上の組み合わせが発生します。この1兆超の組み合わせをどうマッチングさせていけばよいのか。ちなみにマッチング精度を上げて付加価値を高めることと、その付加価値をどれだけマネタイズするかは別です。マネタイズについては後述するので、まずはマッチングから。
どこにベクトルをあわせるかで方法は変わってきますが、全広告主の収益への寄与度の最大化を目指すとすると、予測LTVの合計が最大になるように全広告と全メディアを組み合わせればよいです。利益を追求すれば結果として適切な組み合わせが自然と調節されるというのは「神の見えざる手」と同じです。現状のマッチングの方法もLTVを念頭においた許容CPAを元に弾きだした単価で入札し配信することが多く、これでもある程度の水準までは自然とLTVの合計が最大値になる組み合わせになります。
このため広告ジャンル毎にLTVの相場を知っておく必要があります。広告主に聞いたところで広告単価を下げたいためLTVを低く回答するでしょう。なお広告表示毎の予測LTVはざっくり下記のように計算します。
1CVあたりの平均LTVが10,000円、予測CTR1%、予測CVR1%の場合
10,000円×0.01×0.01=1円
また例えば下記の場合
【組み合わせ①】
広告AとメディアXの組み合わせLTVが10円
広告BとメディアYの組み合わせLTVが2円
LTV合計は12円
【組み合わせ②】
広告BとメディアYの組み合わせLTVが8円
広告AとメディアXの組み合わせLTVが6円
LTV合計は14円
組み合わせ②のLTVは個別には最大値ではないけど合計で①を上回るので、組み合わせ②になるのが望ましいです。
当然ですがアルゴリズムで自動マッチングさせていく必要があります。あらゆるデータ元にCTRやCVRなどを予測し、その瞬間瞬間のLTV合計の最大化を目指しましょう。「自動マッチングなんて当たり前でしょ?」と考える方も多いのですが、自動マッチング機能が無い広告配信サービスも少なくないのです。またアルゴリズムのレベルが低くて、手動の方が良い場合もあります。
では具体的なアルゴリズムは?というと筆者も体系的にじっくり設計したことが無いので難しいですし、ここで語るには内容的にマニアック過ぎてしまいます。もし今筆者がサービスの中にいれば考えに考えぬいたことでしょう。ちなみに、このアルゴリズムを考えることができる能力ある人材は、そう簡単には見つからないでしょう。
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1章 DSPはなぜアドネットワークに勝てないのか
・続々出現するアドテク企業
・アドネットワークに勝てないDSPの売上高
・「ネンド」「アイモバイル」強者の共通点
・「枠から人へ」は間違いだった
・アドテクの使い方が下手
・データ利用で下がる広告効果
・アトリビューションは気にするな
・DSPの構造的弱点
2章 広告配信サービス成長法の基本
・広告配信サービス成長法の基本
・1兆超の組み合わせは見えざる手で
・配信精度を磨いてLTVを上げろ
・ユーザー負担増でマネタイズ
・強引にCTRを上げろ
・コンサル強化へ
・広告とメディアの親和性を知れ