DSPの構造的弱点
筆者は、DPSは構造的な弱点を抱えていると考えます。それが強みになる場合もあるので一概にどっちがよいというわけではありません。
プロダクトの構成方法を「垂直統合型」と「水平分離型」の2つで言い表すことがあります。簡単に説明すると、「垂直統合型」は1つのサービスをすべて自社でつくるもので、「水平分離型」は複数の企業が連携することでサービスが完結するものです。
そしてアドテク業界では「DSP」と「SSP」が連携する「水平分離型」が増えています。DSPは広告主側のプラットフォーム、SSPはメディア側のプラットフォームで、それぞれ別の事業者が担う「水平分離型」となっています。一方、アドネットワークは、広告主とメディアのプラットフォームが一体となっており「垂直統合型」と言えます(アドネットワークもDSPやSSPとの連携も進んでいる)。
そしてこの水平分離型の弱点がモロにDSPに降りかかってきます。次章で説明しますが、広告配信の組み合わせは1兆を超え、かつ瞬時に対応する必要があります。この組み合わせの最大化を目指すには広告主側とメディア側の歩調を合わせて、情報を一元管理し最適な組み合わせを実現させる必要がありますが、水平分離型ですと歩調を合わせるのが大変です。右足と左足を別々の脳で動かしたら、走るのが難しくなるのと同じことです。DSPが新しいサイズのクリエイティブを導入したいといっても、SSPが対応してくれないと実現できないのです。実際にDSPとSSPの業者から「すり合わせが面倒だから新機能導入が億劫」と聞いたことがあります。
水平分離型の強みとしては、スモールスタートしやすいことや、グローバル展開する時など分業不可欠な時でしょう。また今後DSPがSSP、SSPがDSPといった機能の幅を広げてくることも予想されます。
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1章 DSPはなぜアドネットワークに勝てないのか
・続々出現するアドテク企業
・アドネットワークに勝てないDSPの売上高
・「ネンド」「アイモバイル」強者の共通点
・「枠から人へ」は間違いだった
・アドテクの使い方が下手
・データ利用で下がる広告効果
・アトリビューションは気にするな
・DSPの構造的弱点
2章 広告配信サービス成長法の基本
・広告配信サービス成長法の基本
・1兆超の組み合わせは見えざる手で
・配信精度を磨いてLTVを上げろ
・ユーザー負担増でマネタイズ
・強引にCTRを上げろ
・コンサル強化へ
・広告とメディアの親和性を知れ
・管理画面を使いやす
・超希少な人材を確保しろ
・マッチングは最強の技術である